北京冬季オリンピックが閉幕しました。
多くの日本人選手の活躍が、今でも記憶に新しいですね。
中でも、スノーボード男子ハーフパイプ・平野歩夢選手(TOKIOインカラミ・新潟県村上市出身)のパフォーマンスに、圧倒された方も多いのではないでしょうか?
平野選手は今回のオリンピックで、予選を全体1位で通過し、決勝では3回のラン、その全てにおいて、世界最高難度のトリックといわれる「トリプルコーク1440」を成功させ、見事金メダルを獲得しました。
ハーフパイプを初めて見たという方でも、映像を何度も見返してしまうほど、平野選手のパフォーマンスのすごさが伝わったかと思います。
平野選手がオリンピックで披露したトリックは、どれも完成度の高いものばかりでしたが、今回はその中でも、オリンピックで平野選手だけが成功させた「トリプルコーク1440」について、そのすごさと、成功の裏側についてまとめたいと思います。
「トリプルコーク1440」どれくらいすごい?
#北京オリンピック
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===========第2位「#平野歩夢 圧巻ランで悲願の金メダル🥇」
スノーボード 男子ハーフパイプ
ファーストヒットで『トリプルコーク1440』を完璧に決めた平野選手は、逆転で金メダルを獲得しました🎉#Beijing2022 #TVer pic.twitter.com/wr6ZnbeUkZ— TVer_Sports (@TVer_Sports) February 27, 2022
ところで皆さん、「トリプルコーク1440」というトリックが、どのような技なのかご存じでしょうか?
字面から何となくすごそうな技だということは、お分かりいただけるとは思いますが、「トリプル」「コーク」「1440」がそれぞれ何を意味しているのか、分からないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、まずは「トリプル」「コーク」「1440」それぞれの意味について、解説していきたいと思います。
「トリプルコーク1440」とは?
#Beijing2022 #TEAMJAPAN NICE SHOT🤯´-#スノーボード 男子ハーフパイプ❄️🇯🇵
人類史上最高難度!!!!!!
「トリプルコーク1440」を決める #平野歩夢 選手🥇✨話題の超人技を連続写真でお届け📸!!!#がんばれニッポン#オリンピック pic.twitter.com/m0BllvxmG7
— TEAM JAPAN (@Japan_Olympic) February 12, 2022
まず最初の「トリプル」とは、フィギュアスケートなどと同じで「回転数」、つまり「3回転」ということを意味しています。
ただ、フィギュアスケートと違うのは、ハーフパイプのトリックには、「コーク軸」と呼ばれる斜め軸の回転と、「横軸」の回転とがあるということです。
この「トリプル」は、前者のコーク軸で3回転するということを表しています。
そして次に「コーク」ですが、これは先ほどのコーク軸での回転を意味していて、コークスクリュー(栓抜き)のような螺旋状の動きのことです。
最後に「1440」ですが、これは「コーク軸」と「横軸」での合計回転数を表しています。
しかしここでは、「1回転」や「2回転」のような表し方ではなく、1回転は360°、2回転は720°のように角度で表すということに注意が必要です。
つまり、今回の「1440」は1440 ÷ 360 = 4となるので、「コーク軸」と「横軸」で合計4回転するということを表しています。
以上をまとめると、「トリプルコーク1440」とは、着地までの間に「コーク軸」で3回転、「横軸」で1回転の合計4回転するトリックということになります。
「トリプルコーク1440」の難しさとは?
「トリプルコーク1440」がどんなトリックなのか分かっていただいたと思うので、次はその難しさについて見ていきたいと思います。
そこで、ここでは似たような名前の「ダブルコーク1440」というトリックと比較してみたいと思います。
先ほど見てきたように、「ダブルコーク1440」とは、着地までの間に「コーク軸」で2回転、横軸で2回転の合計4回転するトリックということになります。
この「ダブルコーク1440」は、「トリプルコーク1440」が完成される前までは世界最高難度レベルのトリックとされていました。
実際、2014年のソチ冬季オリンピックでは、スイスのユーリ・ポドラドチコフ選手が、決勝2回目のランで「ダブルコーク1440」を決めて、金メダルに輝いています。
現在では、「トリプルコーク1440」が世界最高難度のトリックとされていますが、「ダブルコーク1440」と比べると合計回転数はどちらも4回転なので、回転数だけを見ると難易度にあまり差はないように思えます。
しかしながら、「横軸」での回転に比べて「コーク軸」での回転の方が、より「エア」の高さが必要になるので難しくなります。
よって、「トリプルコーク1440」の方が「ダブルコーク1440」に比べて、「コーク軸」での回転が1回転多いので、より難しいということになります。
「トリプルコーク1440」の成功の裏側とは?
平野歩夢くん世界初のトリプルコーク1440だって🏂縦3回転横4回転てなんだ?どんだけクルクルするんだこの子は😂😂すごい👏文字通り命がけ#平野歩夢https://t.co/H9Ce4IXWoV pic.twitter.com/B1SbGZ2Zc0
— H (@Hiroegg) December 28, 2021
「ダブルコーク1440」でさえ難易度がかなり高いのに、それよりさらに難しい「トリプルコーク1440」が、いかにすごいトリックかお分かりいただけたと思います。
その大技を平野選手は、このオリンピックの舞台で全選手の中で唯一、しかも決勝では3回連続で成功させました。
その成功の裏には、血のにじむような練習や努力があったことが想像できますが、それはどのようなものだったのでしょうか?
今回の北京冬季オリンピックで、ハーフパイプのサポートメンバーとして、平野選手と関わっていた島崎勝行氏によると、「トリプルコーク1440」成功の裏には桁外れの「練習量」があったといいます。
普通の選手の場合、パイプでの練習は1日に20~30本ほどなのですが、平野選手の場合はそれが60~70本にも及ぶそうです。
同氏によると、この膨大な練習量を可能にしたのは、平野選手が長期間にわたって培ってきた「スタミナ」なのですが、この「スタミナ」がハーフパイプにおいては一番の土台になるといいます。
ハーフパイプでは「4つのS」が大事にされているそうで、それぞれは「Stamina(スタミナ)」「Strength(筋力や柔軟性など)」「Speed(スピード)」そして「Skill(スキル)」の頭文字ですが、その一番の土台となるのが「スタミナ」なのだそうです。
平野選手の場合、この「スタミナ」が日々の練習の積み重ねによって、他の選手に比べて桁外れに優れていたので、基本の滑りが安定し、さらに点数を取るために必要な高さやスピードも出すことができたといいます。
まとめ
スノーボード男子ハーフパイプ、平野歩夢選手、悲願の金メダル、本当におめでとう(^_^)!!
トリプルコーク1440成功!!
2回目も十分に凄かったですが、最後3回目も本当に最高の演技で逆転の金メダル、鳥肌が立ちました!!そしてショーンホワイト選手、本当にお疲れさま!!
感動をありがとう!! pic.twitter.com/OUPfgT8NKo— モキラ96 (@mokira9696) February 11, 2022
今回、平野歩夢選手が北京冬季オリンピックで成功させた「トリプルコーク1440」というトリックについて、そのすごさと、成功の裏側について見てきました。まとめると、
- 「トリプルコーク1440」を成功させるためには、「ダブルコーク1440」よりも「エア」の高さが必要
- また、その「エア」の高さを出すために、練習量は他の選手のおよそ3倍
ということになります。
実は、「トリプルコーク1440」を練習を含めて成功させた選手は、平野選手以外にも世界に数人いるのですが、冬季オリンピックで成功させた選手は平野選手ただ一人です。
これから、平野選手以外にも「トリプルコーク1440」に挑んでくる選手も増えてくると思いますが、成功させるのはそう簡単なことではないような気がします。
平野選手は、次はどのようなトリックを披露してくれるのでしょうか?
次のオリンピックでの平野選手の活躍が楽しみですね!